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2013年12月 4日 (水)

沖つ島山8(東近江のかくれ里、紅葉の名所・石馬寺にて)~近江山河抄の舞台を歩く(54)


滋賀県東近江市にある石馬寺(いしばじ)もまた、紅葉の隠れた名所である。
教林坊や観音正寺のある繖山に近く、前回ご紹介した瓦屋寺からもさほど離れていない。
白洲正子さんの『かくれ里』にも出てくる古刹である。


参道入口の脇には、無数の石仏。花がお供えしてある。


乱れ石積みの階段を登っていくと、優しい色の紅葉が迎えてくれた。


石馬寺と神社の分岐点。かんのん坂と呼ばれており、登っていくと本堂がある。
石段がきついので、ここまで登って来る人は少ない。


撮影した日はちょうど紅葉の見ごろで、本堂はすぐ目の前にあった。


石馬寺の紅葉は、優しい色合いでやわらかい黄色が印象的。
山の中なので、紅葉に緑が映え、とても自然な色に感じられる。
石馬寺を訪ねるなら秋がおすすめですと、地元の方が仰っていた気持ちが、よく分かる。
ちなみに、どの写真も一切色の修正をかけていない。


石馬の石庭。後ろに本堂と鐘楼が見えている。
御住職の話では修験道に起源を持つ寺で、庭奥の巨岩の周囲は水が枯れることがないとか。
そういえば、本堂で見せていただいた中に、鎌倉時代の役行者像があった。
前回ご紹介した太郎坊宮といい、東近江は山岳信仰と修験道の地なのだと実感する。


本堂の横には、修験道を彷彿させる石仏たち。頭上の紅葉が見事。
なんて美しい所なんだろう!


境内の奥にも、御覧のように修験の雰囲気が漂っている。


石馬寺は推古2年(594)、聖徳太子が開いたという伝承がある。
太子が繖山山麓を訪ねた際、乗ってきた馬を松の木につないで山に登った。
ところが山を下りると、つないでいた馬は池に沈んで石になっていたという。
霊験を感じた太子は寺を建立して、石馬寺と名付けたと伝わっている。
境内入り口には石馬の池(写真)があり、石馬寺縁起発祥の古池として保存されている。

教林坊もそうだが、近江八幡市、安土町、東近江市には、聖徳太子開基の伝承の寺が多い。
推古天皇の摂政だった聖徳太子は、鎮護国家を祈る霊地を求めて近江を旅したと言われる。

ちなみに、近江八幡市には願成就寺(がんじょうじゅじ)という寺がある。
推古天皇27年正月に聖徳太子(48才)が勅を賜り、近江国(滋賀県)に48箇所の寺を建立。
最後に建てた寺が願成就寺で、故に願いが成就したとして願成就寺と号したと言われている。
願成就寺の写真はこちら(バックナンバーより)


麓の集落から石馬寺に続く参道を、振り返りながら撮影。
石馬寺は信長の兵火で灰燼に帰し、正保元年(1644)に禅寺として再建されている。
信長と敵対した近江佐々木氏の庇護を受けていたゆえの悲劇は、湖東三山と共通している。
江戸時代に禅寺となって再興されたことも、同じ東近江の瓦屋寺とよく似ている。

古来から湖東は山岳信仰の聖地であり、帰化人の秦氏がいて、豊かな歴史と文化を育んできた。
現在、東近江の寺院が注目されているのは、自然な流れなのかもしれない。
今年の秋は東近江を訪ねる機会が多く、改めてその魅力に気付かされた。
(撮影日:2013年11月26日)

石馬寺:滋賀県東近江市五個荘石馬寺町823
http://ishibaji.jp/


「沖つ島山」シリーズ バックナンバー
1(安土のかくれ里、教林坊と老蘇の森)
2(近江八幡:ちょっと番外編:八幡堀と、ネコと、菖蒲と紫陽花)
3(近江八幡:水郷の風景、安土の山から見た西の湖、アジサイの咲く頃・長命寺)
4(安土の繖山:桑実寺、観音寺城跡と観音正寺/付記:観音寺城関連リンク集)
5(近江八幡:大嶋・奥津嶋神社<北津田>~渡合橋~水郷の風景<円山>/圓山神社と寶珠寺)
6(琵琶湖最大の島・沖島。沖島と奥島山(大嶋・奥津嶋神社)と八幡山(日牟礼八幡宮)を結ぶ線)
7(近江源氏・佐々木氏ゆかりの地を巡る。氏神「沙沙貴神社」と京極家の菩提寺「徳源院」)

次回:近江路3(滋賀県湖南市:岩根の石仏と善水寺)の予定です。


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