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2013年11月25日 (月)

鈴鹿の流れ星6(甲賀のかくれ里:油日神社と櫟野寺&油日神社の大宮ごもり)~近江山河抄の舞台を歩く(50)

 


油日神社の大鳥居

草津線の油日駅で下りて、線路を渡って右にいくと、油日神社の大鳥居がある。

ここから油日の交差点に出ると、油日神社までは人も車も殆ど出会わない一本道だ。
とはいえ、草津駅でJR草津線に乗り換えて、油日駅まで42分。
油日神社までは、駅から徒歩で30分。自転車なら20分。今回は駅のレンタサイクルを利用した。
ちなみに油日駅は無人駅で、地元の方が切符の回収やレンタサイクルの受付をされている。

油日の集落と油日岳

油日神社への道中にて撮影。正面に油日岳が見える。油日の向こうは三重県伊賀市。

この油日岳を神体山とするのが、油日神社である。

 



またの日に私は、油日神社を訪ねた。竜法師から東南へ下った油日嶽の麓の、深い木立の中に鎮まっている。先年『かくれ里』という本を書いた時、一番はじめに訪ねた所で、それから既に四、五年経つが、景色は少しも変っていない。-白洲正子『近江山河抄』「鈴鹿の流れ星」

 


油日神社と櫟野寺の分岐点

油日神社と櫟野寺の分岐点。土山まで13kmとある。

このあたりは、鈴鹿の流れ星1でご紹介した「土山」の南に位置する。
そういえば土山町の東前野のバス停で、寺庄駅(油日駅の2駅手前)行のバスが出ていた。

油日神社の神田

油日神社の神田。

分岐点の手前、道路向かいにあるが、自動車では見落としてしまうかもしれない。

 



神田のまわりには注連縄をはりめぐらし、・・・その田をたがやす人を「大田主(おおたぬし)」と呼び、氏子・・・が代々受け持っている、といったように、油日村[注:現在は滋賀県甲賀市甲賀町油日]は今時珍しい別天地である。そういう生活の秩序は、風景の上にも歴然と現われ、田畑や森林の手入れもよく行き届き、どことなく他の所と違う雰囲気がある。
-白洲正子『近江山河抄』「鈴鹿の流れ星」

 


油日神社楼門

油日神社。創建は用明天皇または天武天皇の時代と伝わる古い社だ。

聖徳太子が社殿を建立し油日大明神を祀ったとの伝承もある。
写真の楼門・回廊とも1566年(永禄9年)建立で、堂々たる風格がある。
楼門・回廊・本殿・拝殿ともに重要文化財。映画『大奥』などのロケ地にも使われている。

油日神社に奉納された油

油日神社は「油の神様」として全国の油業者の信仰を集めている。


油日神社回廊と水路

回廊のまわりを清らかな水が巡る。水路は神社の外に続いていた。


油日神社拝殿とコウヤマキ

油日神社拝殿の左隣に、高さ35mの高野槇(コウヤマキ)の大木がある。

樹齢は約750年と推定され、滋賀県の自然記念物に指定されている。

大宮ごもりの日、油日神社拝殿

拝殿は桃山時代の建立で、夜になるとまた格別の趣がある。


油日神社の大宮ごもり-1

油日神社の大宮ごもり(※別の日に撮影)


9月11日に油日岳山頂で徹夜で神火を焚き、13日夕方から深夜まで神社で灯明を点し、
油の神様に祈祷を捧げる行事である。

油日神社の大宮ごもり-2

9月13日の18時前から千数百の灯明が点され、境内や参拝者を照らす。


油日神社の大宮ごもり-7

灯明のひとつひとつに、点した人の思いがこもる。


油日神社の大宮ごもり-3

20時過ぎから、本殿で宮司さまの祈祷が始まる。


油日神社の大宮ごもり-4

宮司さまの祈祷に熱心に耳を傾ける、氏子の皆さん(拝殿にて)。

この時初めて油日に伺ったが、2ヶ月前なのに、駅から機材を担いで歩いたのが懐かしい。
田んぼと民家の点在する一本道で、帰りは真っ暗。道中もほとんど人に会わなかった。
今度は明るいときに来ようと思い、再度伺ったのが、10月終わりのある日の午後。

油日神社の楼門は、光の中

油日神社の楼門は、光の中。


油日神社の脇参道

鐘楼の脇にある参道を抜けると、櫟野寺(らくやじ)への道に合流する。




櫟野寺への途中で出会ったのが、鹿深(かふか)りんご園。


りんご園のりんご

たくさんのりんごが実っていた。見ていて幸せな気持ちになる。


油日の田園風景

田園風景を横目に、緩やかな坂道を、ひたすら自転車のペダルを漕ぐ。

油日岳の登山口の前を通り、緑色の遊歩道の下を過ぎると、左に櫟野寺の看板がある。
油日神社からは15分ほど過ぎていただろうか。そこから坂道を一気に下る。

甲賀町櫟野

甲賀町櫟野(いちの)。お寺は櫟野寺(らくやじ)だが、地名は「いちの」と読む。




櫟野の集落を望む。真ん中の三角屋根が櫟野寺。


櫟野川

杣川の支流・櫟野川にかかる朱塗りの橋を渡る。

橋を渡ると正面に櫟野寺、左に駐車場がある。

櫟野寺参道の石仏

櫟野寺の参道左側には、無数の石仏が立ち並んでいた。

 



油日の近くには櫟野寺のほかにも、趣の深い古寺がたくさんあり、いずれも十一面観音を祀っている。・・・天台宗の寺院が多く、伝教大師の草創ということになっているが、それは叡山が創立した当時の名残であろう。-白洲正子『近江山河抄』「鈴鹿の流れ星」

 


櫟野寺本堂

山門をくぐるとすぐ本堂がある。ここに日本最大の木造十一面観音坐像がある。

お堂の奥が開かれたとき、言葉にならなかった。像高312cmの一木造。
見上げるような鈍い黄金色の十一面観音があった。櫟野寺の本尊で、秘仏である。
スケールが違う。私は今まであんなに大きな十一面観音を見たことがなかった。

現在は、春と秋を中心に特別拝観が行なわれている。
立体で本物を見るのは、全く違う。ぜひ多くの方に御覧になって頂きたい。
※写真⇒http://www.biwako-visitors.jp/shinbutsuimasu/shinbutsu/kouka/kouka_025.php

特別拝観:1月1日~3日、4月18日~5月第2日曜日、8月9日、10月18日~11月第2日曜日
http://www.rakuyaji.jp/

櫟野寺の由緒

櫟野寺の由緒。

792年(延暦11年)、伝教大師最澄が十一面観音を安置したのが始まりと伝えられている。
飯道山麓の杣川一帯は、中世に杣庄と呼ばれる荘園が広がっていた。
後に新宮・矢川・三大寺の三荘に分かれる。現在の甲南町の一部と水口町三大寺である。
最澄は比叡山延暦寺の根本中堂の用材を得るため、このあたりを訪ねていたといわれる。
後年、征夷大将軍・坂上田村麻呂が鈴鹿山の鬼退治をした際に帰依し、祈願寺とした。

櫟野寺の山門

櫟野寺の山門(裏側から)。

この後行きと同じ道を帰った。下り坂が多かったので、20分ほどで駅まで帰れた記憶がある。
油日神社の見事な回廊、そして櫟野寺の十一面観音坐像が、瞼に焼き付いて離れなかった。
いつかまた油日と櫟野に行きたいと思っている。(撮影日:2013年10月28日、9月13日)


次回:鈴鹿の流れ星7(紅葉の永源寺と湖東三山)の予定です。



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