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2013年4月28日 (日)

逢坂越8(松尾芭蕉と幻住庵)~白洲正子「近江山河抄」の舞台を歩く(17)

国分山(幻住庵に続く山道)

『奥の細道』の旅の翌年。芭蕉は国分山の「幻住庵」に約4ヶ月滞在し、旅の疲れを癒した。

「石山の奥、岩間のうしろに山あり、国分山といふ。」という出だしで『幻住庵記』は始まる。
国分山は大津市の南部にあり、石山寺からそれほど離れていない。

芭蕉は40代以降、たびたび大津に滞在し、大津で89句の句を詠んだ。
89句というのは、芭蕉の全発句の約1割にあたる大変な数である。

とくとくの清水(案内板)

とくとくの清水

山道を数分登ったところに、芭蕉が炊事に使ったという「とくとくの清水」がある。

幻住庵跡の碑と桜の花

国分の氏神を祀る「近津尾神社」の前には、幻住庵跡の碑が建つ。
芭蕉がここで暮らしたのは、1690年(元禄3)4月6日から7月23日までの約四ヶ月間だった。
門人である曲水の勧めで、幻住老人(故人)が暮らした庵で過ごすことになる。

曲水は、本名を菅沼修理定常という膳所藩士で、芭蕉からの信望が厚かった。
幻住は曲水の伯父にあたる人物で、菅沼修理定知という隠者である。
『幻住庵記』には異本がいくつかあり、幻住老人は8年前に亡くなったと書く稿もある。

先ず頼む 椎の木もあり 夏木立(句碑)

『幻住庵記』を締めくくる一句。「先ず頼む 椎(しい)の木もあり 夏木立」
近津尾神社の社務所の前に、この句碑がある。

伊賀上野生まれの芭蕉は、近江ののびやかな自然を愛したと言われる。
幻住庵を出た後には、膳所の義仲寺(大津市馬場)に庵を結んだ(無名庵)。
その後も膳所にたびたび滞在し、幻住庵を懐かしむ手紙を曲水に書いている。

大津には門弟も多く、芭蕉にとっては第二のふるさとだったと言われている。
大阪で亡くなったとき、亡骸は淀川(瀬田川)経由で運ばれ、翌日に義仲寺に着いている。
さらに次の日の夜、遺言通り、義仲寺境内(木曽義仲の墓の隣)に埋葬された。

「木曽殿と背中合わせの寒さかな」(島崎又玄)

幻住庵の門

1991年(平成3)、幻住庵跡のそばに、大津市によって幻住庵が新しく建てられた。
竹下内閣のときの、ふるさと創生一億円事業によるものである。

門の奥に藁葺き屋根の庵があり、地元の国分(こくぶ)の方々が輪番で詰めている。
訪ねた日はあいにくの天気となってしまい、当番の方にお話だけ伺った。

山の中にあるので藁葺き屋根の傷みが激しく、しょっちゅう葺き替えをする必要があること。
春は3月後半のアセビの花に始まり、4月に桜、コバノミツバツツジなどが咲くこと。
幻住庵の下には東海自然歩道が通っていて、2時間で醍醐(京都)まで歩いていけること。
正面の伽藍山の奥が石山寺で、瀬田川の向こうに近江の国府跡があるなど、教えて頂く。

撮影した4月10日頃は、ちょうどコバノミツバツツジが咲き始めて、桜がまだ残っていた。
遠くの山は見えなかったが、ビルの間を東海道新幹線が走っていくのがよく見えた。

幻住庵を訪ねる人は、俳句の愛好者の方が多いとも伺った。
そこで次回は特別編として、大津における芭蕉の発句89句すべてを掲載します。

幻住庵(2013年4月現在の情報)
開館時間/9:30~16:30
休館日/月曜(祝日の場合翌日)
入館料/無料
アクセス/JR石山駅・京阪石山駅からバス国分団地行き13分、幻住庵下車。
または京阪石山寺駅から徒歩30分。駐車場あり。

「特別編:大津における芭蕉の発句、89句すべてを掲載」へ続きます。


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