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2013年3月21日 (木)

逢坂越2(関蝉丸神社と関の清水) ~白洲正子「近江山河抄」の舞台を歩く(2)

関蝉丸神社下社と狛犬

参道を横切る踏切を渡って関蝉丸神社(下社)に入ると、かわいらしい狛犬が迎えてくれた。

京阪電車の上栄町駅で下車し、国道161号線の坂道を10分ほど上っていくと、下社がある。
白洲正子さんが「蝉丸神社の下社(関清水明神)」と書いているのが、この神社である。

神社の建物は老朽化して、所々傷んでいるように見える。
芸能の神様である蝉丸を慕って、時折参拝客が訪れるらしい。
記帳用のノートが本殿に置いてあった。

関蝉丸神社下社本殿

社伝によれば822年(弘仁13)に猿田彦命・豊玉姫命(街道の守護神)を上社と下社に祀った。

蝉丸(平安時代中期の琵琶法師・歌人)が逢坂山に住み、没後に上社と下社に祀られるようになった。 天禄2年(971年)に綸旨を下賜され、以後歌舞音曲の神として信仰されるようになったという。
(出典:ウィキペディア(関蝉丸神社)

蝉丸を祀った神社はもう一箇所あると、前回書いた。峠の手前(大谷)にある蝉丸神社である。
蝉丸神社の社伝には、天慶九年(946年)に蝉丸を主神として祠ったとある。
そして万治三年(1660年)に、猿田彦命と豊玉姫命を合祀したとあった。

蝉丸と猿田彦命・豊玉姫命を祀った順序こそ違うが、関蝉丸神社のほうが歴史は古いようだ。
関蝉丸神社の分社が蝉丸神社らしいという話も聞いたが、それ以上のことは分からなかった。

時雨燈篭

関蝉丸神社(下社)本殿の左脇には、重要文化財の「時雨燈篭」がある。
鎌倉時代の特色をもった貴重なものだという。優しい雰囲気のある石燈篭だった。

時雨燈篭(案内板)

関蝉丸神社下社と関の清水

関蝉丸神社(下社)拝殿の手前に、「せきのしみづ」(関の清水)とある。
歌枕にもなっている「関の清水」は、すでに枯れていた。

関の清水

『近江名所図会』という、江戸時代に書かれたガイドブックがある。
「蝉丸の社内にあれども、長明[無名抄]に、その時すでに水かれたるよし見えたれば」とある。
江戸時代以前に、すでに水は枯れていたらしい。

(『近江名所図会』:文化11年(1814年)刊行、1974年に柳原書店から復刊されている。)

紀貫之の句碑(関の清水)

関の清水を詠んだ代表的な歌。関蝉丸神社(下社)境内に句碑がある。
「逢坂の関の清水に影みえて今やひくらん望月の駒」(紀貫之)

逢坂山ふもとの神社のサネカズラ

関蝉丸神社(下社)境内に「さねかずら」が植えてあった。
逢坂山と「さねかずら」といえば、百人一首の三条右大臣の歌がある。

「名にし負はば 逢坂山のさねかづら 人に知られで くるよしもがな」

句碑は無かったので連想ゲームみたいな話だが、私自身、家に帰って調べ直したことも多い。
大関越を歩いて思ったのは、見えないものにロマンを感じるのは大変なことだということだ。
現代の生活は、逢坂の関を歩くことや馬に乗ること、さねかずらを意識することから遠くなっている。

「消え行くことさえ気付かれないまま、静かに消えようとしている風景があるとしたら」と前回書いた。
昔の人と文化的な対話が出来なくなっているのなら、やはり悲しい。

関蝉丸神社下社の参道を走る京阪電車(境内から撮影)

関蝉丸神社(下社)の参道を、京阪電車が走っていく。

関蝉丸神社下社と京阪電車踏切(境内から撮影)

上社と下社の関係については、『近江名所図会』に次の記述があった。ご参考までに。

「関大明神蝉丸宮 此山中の町より八町の間には、関清水明神と共に並せ祭る。神事九月二十四日。 但二十一日より清水明神へ神輿をうつし奉り、二十四日又此社へ還御あり、是神事なり。
いづれを御旅所ともわけがたし。」(注:関大明神蝉丸宮=上社、関清水明神=下社)

滋賀県神社庁HPによれば、 関蝉丸神社の祭事は現在、5月24日に行なわれている。

蝉丸の伝説と神社の現状は、京都新聞の記事が詳しいのでご参照いただきたい。
京都新聞「ふるさと昔語り」 (136)蝉丸と逆髪(大津市逢坂1丁目)

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